昨日あたりに発信された、復興庁職員のツイートを叩きまくる状況に憤慨して、自分としては、「そんなバカバカしいことしてんじゃねー」という趣旨のツイートをしております。
そして、今日目にしたひどいツイートがこちら。
復興庁参事官の暴言ツイートを機に、アカウントに鍵をかける公務員の方が増えているようだ。これはとても残念。役所の中の個人のつぶやきはオープンガバメントへの第一歩。霞ヶ関の中からの肉声は、肉声であるというだけで社会のためになると思う... http://t.co/xs3idHBN9C
— 小川一 (@pinpinkiri) June 14, 2013
発言主は「毎日新聞東京本社編集編成局長です」だそうです。
自分たちマスメディアが“言葉狩り”のような真似して、全国に晒しあげておいて、「アカウントに鍵をかける公務員の方が増えているようだ。これはとても残念。」て。
本当に頭のなかがどういう構造、思考回路になっているのか不思議でならない。
あんなふうに晒しあげられたら、普通の人なら「下手なこと言えね。」と思うだろうに。
そして、同じ人物の別のツイート。
船橋市を退庁時。「市長から温かいお言葉を頂き、危うく涙腺が決壊するところでしたが、なんとか踏みとどまりました」。飛行機で眼下に船橋市内の競馬場や海浜公園が見えると「すべてが懐かしく、涙が出そうになりました」。それが復興庁への異動後、変わっていく。激務で心に悪魔が宿ったか。言うに事欠いて「心に悪魔が宿ったか」です。
— 小川一 (@pinpinkiri) June 13, 2013
たしかに、「左翼のクソ共」のようなツイートはまずかったと思います。客観的に見て、それは脇が甘すぎると感じました。突っ込んで下さいと言ってるようなものだと。
でも、その他のツイートで晒しあげを食らわねばならないようなものがありましたかね?
「悪魔」だと強い言葉で揶揄されるようなことなんでしょうか。
もし、この参事官がめちゃめちゃ優秀で、現場と密接に連絡取り合って仕事を進めてたとしたら、どうなるんでしょうね。
更迭されて、代わりにきた参事官は前任者とは打って変わって仕事できない、超受け身だとしたら。
無意味な仮定ですけど、それで一番迷惑被るのは誰?
復興担当として、被災地に寄り添う気持ちを持つのがベターだけど、必須ではない。
気持ちだけ寄り添って何もできない/しない官僚より、気持ちはあまり寄り添ってなくても仕事できる/する官僚のほうがマシ。もっと言えば両方いればそのほうがいい。
とは言え、この参事官が寄り添う気持ちがなかったのか?といえばそうでもないような気もする。
彼が苛ついていた相手は、きっと「悪魔」のようなツイートを吐きたくさせるほどの「左翼のクソ」に限られていたのではないか。
漂白される社会(開沼博)
ここで一度話が飛びますが、お付き合い下さい。
いま読んでいる本に開沼博の『漂白される社会』があります。
まだ第3章に入ったくらいだけど、ルポルタージュとしての読みやすさがあり、その対象はまさに「色」モノと見られる人々なので、興味深いです。
“漂白される”社会とは
この中でいう「漂白される社会」とは何か。
売春島、移動キャバクラ、シェアハウス、闇金による生活保護斡旋などなど一般的に「色眼鏡なし」には見られない現実があります。
そして、近年繁華街に対する「浄化作戦」などで、ホームレスや風俗店などが一掃されています。
そのようにして「色」モノを目に見えるところから排除・除去することで安心する社会、それを「漂白される社会」と表現されています。
わかりやすい「悪」、一見して「違う」ものを排除・除外し、視界から外すことで「安心」する社会です。
個人的に本書のエッセンスだなと思う箇所を引用します。
手の届く範囲にあるものに軽率に飛びつくことをやめ、複雑なものを短絡的に単純化すべきではない。ろくに手足を使っていないにもかかわらず、わかりやすい答えが見つかりそうになったとしたら、それは先入観や偏見でしかないと拒絶すべきだ。(p.4)
今回のツイートを「漂白される社会」的に読むと
上で例示した売春島や移動キャバクラなどは本書の中で丁寧に触れられています。
そして、今回のツイートを「漂白される社会」的に読みといてみます。
まず、今回のツイートは「売春島」や「移動キャバクラ」のような現実的な社会問題と比べるとはるかに問題の度合いは低いと感じます。
ただただ担当の官僚が個人的な感情を吐露しただけです。
むしろ彼が担当していたであろう被災地復興。これこそが社会問題ですが、これは今回の騒動の本質になっていません。
次に、上記編成局長やOurPlanetTVなどメディアがしたことは、「色」モノで、目にしたら眉をひそめるツイートを「浄化」したということです。
「こんな発言は官僚としてけしからん。被災者を侮辱している」と。
これはどういうことか。
メディアに所属している以上、自分たちが正しい情報を発信しているとプライドを持っているでしょう。
そんなメディアが、「わかりやすい答え」に「短絡的に単純化」して飛びつき、批判して、社会から排除したということです。
- わかりやすい答え→「左翼のクソ共」「20分の質問時間に29の質問通告は理解不能」
- 短絡的に単純化→「市民集会を『左翼のクソ共』と揶揄!」「大臣・議員を中傷!」「被災地・被災者を侮辱!」
自分たちがどれだけ短絡的な反応を示したか、よくよく省みたほうがいいと思いますね。
ほんっとうに、バカじゃねーのと思いました。
さらに、上記編成局長がバカだなと思うのは、冒頭に紹介したツイートですよ。
自分たちで漂白しておいて、「官僚の声が届かなくなる…残念なり……」とか、ほんとバカじゃねーのか。
さて、『漂白される社会』の続き読もう……。
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